前日は早朝の五時まで映画「ジョンウィック」を観あさっていた。アクションと音楽、ライティングに編集、車とマーシャルアーツ、そして何より制作チームの圧倒的なセンスを感じる。顔の上のスマホを時々落としそうになりながら、何かここからヒントをもらえないかを考えていた。その四時間後の九時にはミーティングがあり、少しでも眠るためにベッドで目を瞑った。
今回のアメリカ旅、後半戦にはたくさんのミーティングをさせてもらった。「ゼネラルミーティング」と呼ばれるもので、事前に台本を送られることもあれば、本当にただの世間話だけをすることも多い。オーディションでも無く、オファーでもなく、一体これはなんだろう?と今年何度かアメリカに来くたびにずっと頭のどこかにある。今回僕はレンタカーをしていないので、ホテルのバーに来てくれる人とのみ、ミーティングを行っている。会いに来てくれるプロデューサーの人たちはみんな優しくて、僕にコーヒーを買ってきてくれる。
通訳がいない中で、一生懸命、お互いに話す。身振り手振りはもちろん、たまに何かの説明をするために少し芝居することも全然恥ずかしくなくなった。バーでは注目の的になりながら、すれ違う人に「Love your show!!!」なんて言われながら(笑)
何人もの人たちとミーティングをしてきたが、最後のミーティングの為に送迎車が用意された。「マンハッタンビーチの近くのオフィスに来て欲しい」と車を手配してくれたのだ。ただのミーティングでは無いかもしれない、ごくりと唾を飲んだ。その為に僕は映画を朝まで観ていたのだ。そう。声をかけてくれたのは、ジョンウィックの監督、プロデューサーであるチャドさんだった。馬鹿でかいアメリカのSUVに乗りながら、少しだけ緊張した。
会社の入り口にはセキュリティに身分証を提示しなければいけない。「しまった」と僕は眉をしかめる。カバンはおろか、ポッケにはタバコとイヤホン、ホテルのカードキーとクレジットカードのみであり、パスポートを忘れてしまったのである。「僕は俳優をやっています!今日は代表のチャドに会いに来ました!昨日朝までジョンウィックを観ていてパスポートを忘れてしまったんです!!!」と僕は携帯の画面を見せた。セキュリティのおばちゃんが腕をまくり、「なまえは!?えす?えいち、おー?…」と僕の名前が約束にあることを確認して、無理やり通してくれた。頑張ってきなさいよ!と彼女が言うと大きなゲートが開く。
アシスタントに迎えられ、一番奥の個室に通された。スタジオにはキアヌリーブスの映画ポスターがずらりと並んでいた。それもそのはずで、この会社はチャドさんとキアヌリーブスが作った会社だという。チャドさんと初対面して一時間、へたくそな英語でみっちり会話をした。「来週何してる?ガンシューティングに行くんだけど一緒に来ないか?」とチャドさんに誘われたけど、次にアメリカに来るのは11月だからその時行こうと約束をした。話の内容は割愛するが一つだけとても印象に残っているものがある。
チャドさんはスタントマン出身の監督で、元々キアヌリーブスのスタンドダブル(マジで危ないとこの吹替)をやっていて現在は世界トップの監督である。
「俳優ができる限界とスタントをコラボレイトさせる。それで限界までいいレベルに持っていく。ここからここは俳優、ここからここがアクション、そんなのクソだね。全部CG、全部吹替、それでいいものができるはずが無い。しょう、どう思う?」
チャドさんは個人的な連絡先を教えてくれた。東京にいるマーシャルアーツの達人のもとで学んでおいてくれと言われた。次に来た時はガンシューティングで本物をやらせてやると鼻息を荒くしていた。ワークアウトも大事だという、食べ物も大事だと言う。睡眠と遊びと、それに英語も。全部全部大事だから全部本気でやれるか?と彼は言う。
「そこまでやる必要ないよ」とか「そんなの誰も見てないよ、気づかないよ」とか、言われてもう嫌になっていた頃だったから。みんなもあるよね、そう言う自分の努力やこだわりを大切にしてもらえない時。目の前の男はどこまでやっても「足りない」と言いそうだけど。
僕は彼の演説にも聞こえる僕に対しての問いにニヤリとして、強く握手をした。
ブログ読んでてワクワクしてきました!
私は仕事をしていると、自分のこだわりを私のこだわりと理解して同じ目線で進んでくれる人を探す旅をしているように感じます。
どんなことだってせっかくやるなら全力で行きたいですよね、
今後の将くんの人生に幸あれ!!!
すっご!😳
全てうまくいくように祈ってます🙏🏻💕
最後のミーティング、すごくいい手応えだったみたいで読んでいてワクワクした~☺️監督との作品、カタチになるのが楽しみだね✨
終わった後のリラックスした気分でのビーチだったのかな🌊
🇺🇸ともそろそろお別れ?気をつけて帰ってきてねー!土スタ楽しみにしてます🔥
もしや火に燃えるしょーち見てくれたのかしら。
しょーちの努力が実る事を願ってます。