トラウマみたいなあの時の何か

中学二年生の頃、僕はヤンチャではあったが友達を大切にするタイプであり、（自分なりに）正義感が強い学生だった。クラスの男子がいじめられているという理由でホームルームが開かれ、先生が「犯人はわかっているから名乗り出ろ」と僕らに怒鳴っていた。クラスの男子の机には、悪口がたくさん書かれていた。毎朝彼は登校しては、それを消す作業から始めるという事を知り、胸が痛かった。先生が僕の目の前にやって来て、「お前だろう、職員室に来なさい」と言われた。みんなのいる前で、である。

もちろん、いじめ被害にあっていた彼のことを考えると胸がいたい。しかし僕はその時、先生やクラスメイトに「僕ではない」と言えなかった。何故だろうか。「警察に連れて行く」と言われたのが怖かったのだろうか。僕は何も言い返せなかったのである。

職員室で、当時怒鳴られた事を覚えている。周りの他の先生たちの視線がキツかったな〜。

いじめられていた彼が、黒板の前で泣いていたのも忘れられない。

泣きたいのはこっちの方だと、正直、思ってしまった。

数日後、女子たちが集まってきて、「机に悪口などを書いたのは私たちだ」と謝罪をされた。先生にはこのことは伝えなかった。本当は面倒臭かったのかもしれない。

その後事件は風化して、（僕の前だけに）真犯人が現れて、先生からは特にアクションはなくて、彼は学校を辞めていった。受け取り方は、人それぞれなのだと思う。いじめられた子が可哀想だとか、ヤンチャである事が疑われる原因であったから仕方ないだとか、先生も若かったのだからとか。

僕はその時、真実なんて無いんだと思ったね。

物事が各々の立場で常に起こっていて、それに対して様々な感情だけが存在するから。

だから疑われるとドキドキしてしまう。攻撃されるとドギマギしてしまう。