十年近く前、オーディションに行っては台詞一言の役を勝ち取り現場に行く、という日々を繰り返していた。メインを演じるキラキラした人達を遠目に「自分はあちら側の人間ではないから」と言い聞かせ、台本と睨めっこをして、良質な作品を見漁っていた。そもそも誰も自分の事など見てもいないのだから、挨拶や愛嬌、数字や見え方などは無視して、髪の毛もセットせず、ジャージ姿でオーディションへ行き、挨拶は勿論のこと自己紹介もせず、映画会社の一室の奥に並んだお偉い様方を睨みつけて…。
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