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愛してるよなんて誘ってもくれない

一瞬目があったような気がした。君が指で作ったハートマークに会釈するのが精一杯な僕は弱い人間だ。見て見ぬ振りして、ただひたすら、目の前に並んでる料理を食べる事に徹したんだ。まさかあんな事になるなんて、思ってもいなかったから。








 

トレーニングをとにかくハードに、何故か筋トレを一生懸命やっています。食事もできるだけ良いものを身体に入れて、アクション練習も相まって常に筋肉痛です。弟との最低週二のトレーニング、だいぶ良い感じです。かなりキツいんですけど…。

 

もっとトレーニングの質を上げるために、トレ後、弟とサプリメントを買いに行くことになりました。スポーチショップにて弟が、人工甘味料が入っていないこれが良いとか、そんな感じでどんどんカゴにサプリメントを貯めていきます。「これも良さそうだな〜」とか言って自分用のプロテインも何故かカゴに追加していましたが、ま〜いいでしょう(買い物付き合ってくれてるしね)。

 

「トレ後は何か食った方がいいよ」と弟。近くに、昔行ったことのあるタイ料理屋がありましたので、そちらで遅めのランチをする事に。昼過ぎでしたが程よく混んでいるお店には活気があり、僕たちは一番奥の、角の席に案内されました。僕はとにかく酸っぱいものが大好きなので、「トムヤムクンとカオマンガイ」をメインに二人で好きなものを頼みました。パパイヤのサラダを頬張っているくらいに、隣の四人掛けの席に旅行中であろう海外美女が二人座りました。すっごい際どいタンクトップ?みたいな格好をしたセクシーな女子の登場に、弟と目を合わせて、何故か笑いました。

 

汗だくになりながら、デザートのマンゴーまでもらって(弟はなんかアイス頼んでた)、満腹でお会計をしに行くわけです。席を立った時、セクシー美女がウィンクをしてくれたような気がしました。口角を軽く上げて、彼女の横を通り過ぎて、お会計のカウンター前で振り返ります。彼女が照れたように顔を隠しながら、指でハートマークを作っていました。僕も少し照れながら、会釈をしてお会計を続けていると、彼女が席を立ち、こちらに近づいてきます。

 

ロマンスの始まりはいつだって突然に。運命に抗うことの出来ない二人の影がどんどん近づいていきます。国際結婚、将来はどの国に住もうか?君は何語を話すんだろう?前髪をかきあげた仕草と、大胆なタンクトップに目のやり場に困る僕と、どんどん近づいてくるセクシーな君。

 

トムヤムクンで汗だくの筋トレ後ボロボロの僕を軽く通り過ぎて、彼女は弟に近寄り、弟の連絡先を聞きます。将来に満ちた僕の妄想は一瞬で白黒の現実に戻り、「最近はインスタで連絡先交換をするんだね〜」と、精一杯に今までの妄想をかき消して、何もなかったように振る舞います。お会計を済まし、「先にでとくわ〜」となんだか空気の読める風な僕。涙が溢れるのを堪えながら、一歩、また一歩、店の外へと力強く歩きます。後ろではキャッキャと若い男女の楽しげな声が響きながら…。

 

東京の喧騒に溶けて、弟を待ちます。ニヤニヤしながら弟がやってきて、「いや〜英語勉強しないかんな〜」と言うので僕は兄として言ってやりました。


「語学ってそんなに簡単じゃないからな」


 
 
 

63 Comments


た
May 01

まって、おもしろすぎ!文才ありすぎ!!! ほんとなにかでコラム連載してほしい!!!

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さき
さき
Apr 30

笑っちゃった🥹💕💕💕


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みかん
みかん
Apr 29

まさかの😂😂

でも安心した、私たちのしょーちが取られなくて済んだ❤️

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シャノ
シャノ
Apr 29

えーーーーーーーっ!!ってなりました🤣🤣🤣

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ドンマイ😂

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