本当は言いたくない心の話

ある人と話していて、ゴールはどこですか？という問いに、「そんなものはない」と言われた。「まるで海の水を飲み続けているような気分だ」と彼は言う。飲めば飲むほどに喉は渇き、それでも止めることなく海の水を飲み続ける。この世界から海の水が無くなることを想像できるなら未来は明るいのかも知れないけど。

前日、友人の原田と話していて、「お前は帰る場所がないから浮遊、ぽっかり穴が開くんじゃないだろうか」と言われた。帰る場所か～、考えたこともなかったな。本当の意味で心安らげる場所なんて、あるのだろうか。どんなに心を許せる人と居たって結局は他人なんじゃないかと考えてしまう。実際に、結局は他人だしね。

今日、監督とミーティングをした。僕に興味を持ってくれていて、来年撮影の作品にキャスティングしたいとのことだ。なんて光栄だろう。なんて幸せな瞬間だろう。僕の人生の中で、新しい仕事のオファーや、そういう興味を誰かが持ってくれている瞬間だけ、なんだか生きていてもいいんだよと肯定されている気がする。

文章にするとなんだかネガティブに聞こえるね（笑）。全然そんなことはなくて、落ち着いて一つ一つ、今僕の周りで起こっていることを整理して考えているだけだよ。自分の中で完結している価値観と、他者に求める欲求みたいなものと、どう向き合うべきなのかをね。

応援してくれる人を方を向き続けるのは危険だと思う。人はあまりにも勝手だから、僕の事を永遠に愛してくれるわけじゃなさそうだから。それでもいいと自己完結させる。それでも応援してくれる人の方に向けて発信し続けてる。いつか飽きるその日がきっと来ると思うか

ら、そこから先の物語はその時考えようと思う。

ぽっかり空いた穴の正体はなんだろう？話を戻すと昨日の原田くんとの電話で「父親との関係を絶っているからじゃなきか？」と言われた。面倒臭いという理由で、両親の離婚後は二十年以上父とは会ってもいない。「主人公なら会わなきゃいけない。会って解決しなきゃいけない問題があるんじゃないか？」と原田くんは言う。いや、僕はね、アメリカに走ってるたくさんのかっこいい車の中で、次に何を買うかっていうどうでもいい妄想の話をしたかっただけなのに。ね（笑）。

片付けなきゃいけない問題と、向き合うのは面倒臭いよね。「お前は圧倒的に主人公だから向き合わなきゃいけない。少年漫画で父親と向き合わない主人公はいない」だってさ。面倒臭い、圧倒的にめんどう臭い。

アメリカに来ても、日本に居ても、安らげる場所はないと思ってる。それでいいと思ってる。その価値観をぶっ壊してくれるのはいつだって面倒くさい程の距離感で近くにいてくれる仲間であり、芯もなく逃げ出したら馬鹿にされるから、学生時代に好きな女の子に告白をするように、せーのって息を吸い込んで飛び出さなきゃいけない。

https://youtu.be/_ZyD4n5zqxA?si=2b7Va4H6I1cX1YHm