溶けそうなほど甘いお誘いにはご注意を

怒涛の一週間を過ごしております。映画にファッションにドラマにバラエティに、さらにはお話頂いている作品の監督との打ち合わせがあったりなどなど。直射日光に焦げそうになりながら、しかし楽しくお仕事をしています。皆様、溶けるほどの暑さですがお元気にされていますでしょうか。校庭で朝の登校シーンを撮影したのですが、眩しくて目は開かず、暑くて体は重く、全身からの滝汗によりもう本当に大変です。日本の夏ってこんなに暑かったか？

映画の撮影後、マネージャーから深夜電話がありました。「例の件、まだ生きているそうです」、半年以上も前に来た仕事で、あれからどうなったのか考える暇もなく、自然消滅のようになっていた（向こうから返事が来なくなったりはよくあるので）ものがまだ生きていた、と。「その日なんかはいってなかった？」、そう僕たちはもう別件を入れてしまっていたのです。とりあえず詳細をすぐにもらい、これはやった方が良さそうだと判断しました。スケジュールをずらしてもらいながら、さらにはこの一件を僕は無事にやり切ることができるのか、そういう頭の中のグチャグチャを整理しながら。なんで僕がこんなにもこの一件に思い入れがあるのか、ということを説明させてください。僕が独立してすぐの頃の話です。

仕事があるのかないのかビクビクしていた頃、お芝居とは別のルートを広げてくれたのがこの人でした。お仕事自体は楽しいものになりましたが、特にその後ご飯に行ったりする事はなく、よく言えば適切な距離感で、悪く言えばそこまでハマっていないのだろうとそう思っていました。今回、彼らにとって大切なものだというのは言うまでもなく、そんな大事なタイミングで「絶対に笠松くんじゃなきゃ嫌だ」と言われて、出動しない訳にはいかないじゃないですか。そして優秀なマネージャーがスケジュールをこじ開けて、僕たちはこの一件を請け負うことになりました。

得意分野では無い、完全にアウェーな場所です。受け入れられるのか、そもそも僕である必要があるのかも正直わかりません。でも僕はその場所にいるたった一人のためだけに頑張ります。そして今回の件で改めて認識したのは、今までもこうしてきたと言うこと。そしてこれからもずっと、こうやって仕事をしていきたいと言うことです。

小学生の頃、ポルノグラフィティというアーティストのベストアルバムが発売されました。僕はサッカーチーム友人にそれを借りて（当時は歌詞カードなんかをノートに書き写したりもしました）、MDに録音して、タイトルを手動で入力して…。その中でも大好きな曲がありました。「100万人のために歌われたラブソングなんかに僕は簡単に思いを重ねたりはしない」そういう歌詞があるんです。なんて捻くれていて、なんて本質的なんでしょう。幼心にそこの部分が忘れられないのです。

あなたのために頑張ります。あなたの為だけに歌わせてください。そのために最大限の努力をします。あの時、お声がけしてくれて本当にありがとうございました。孤独で、不安で仕方のなかったヒトリノ夜をなんとか超えることができました。そして改めまして、おめでとうございます。当日はよろしくお願いします。

https://youtu.be/_rw6Vnyo8Sc?si=MARNEr_ebOLZnqNr