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釜山国際映画祭②



「華って何だろう?ビジュアル、その中でも顔、つまり最も目に入りやすく表情が豊かな造形を華というのだろうか。いや、姿勢や立ち姿、遠くからでも分かることこそ華なのだろうか。または三次元的に声(話す内容も含め)や振る舞い、そういうものこそに華が宿るのかもしれない。それとも四次元的に過去の経歴からの現在、フィルモグラフィー、商業作品とアート作品のバランス、生い立ちと…。華とは一体何だろう?何を持って華があるのか、そしてそれは成長させていく事が出来るのか、出来ないのか。成長させられるのだとしたら、二次元的な要素ではないと間接的に証明してしまう事になるのだけど…」、大声で誰かが話している、頭の中で。どっちだっていい、どうでもいいから寝かせてくれない?明日の朝も早いから。「知りたくないの?ずっと欲しかったんじゃないの?」


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ホテルから歩いて15分くらいの場所、もしかしたら僕一人なら10分で行けたかもしれない。その15分くらいの場所の深夜営業しているコーヒーショップに向かって歩いていた。プロデューサーのハンさん、そしてガンニバルでご一緒した米本さん。どちらも大好きな人だから、この二人が仲良くなってお互いのチャンスが少しでも増えればいいなと思った。僕たち三人は英語と日本語、韓国語を少しずつ混ぜて、やっぱり映画とかドラマとかそんな話をずっとしていた。深夜なのにケーキの品揃えが充実していて、深夜なのにアイスコーヒーをみんなで飲んで、健康なのか不健康なのかよく分からない、だけど最高に楽しい時間だった。「緊張感は時に最高のスパイスになる。しかし、そんなスパイスなんて要らないほどに甘い甘い時間だって必要だよ。唐辛子とか、黒胡椒とか、たまにはいいけどそういうのは…」と盛り上がる僕の脳内の横で携帯が何度も鳴っていた。「早くきなさい」とご丁寧にお店の住所、現在の集まっているメンバーの写真、何度かの着信履歴。。。ハンさんと米本さんに話すと、ぜひ行ってみようという事になる。理由は楽しそうだから!と。これが行動力、これこそが成り行き力、この二人が居なかったら僕はここから数日以内に起こる奇妙な出来事の数々には出会わなかったのだろうか。


釜山国際映画祭、グッドニュースチームの打ち上げに合流した。チームに大して特に挨拶することは無く、なぜながら前日も深夜まで飲んでいるし、二週間ほど前はトロントで連日朝まで飲んでいるし、撮影も残り数日…となってからは毎日のように打ち上げをしていた。そして、ピョン監督に関してはこの日の昼ごはんも一緒に食べに行かせてもらった。そんななか挨拶を改ってしたり、握手をしたり、あのラッパーみたいなこういう時しかしない半分だけハグみたいなのをするのも変だと判断したからだ。みなさんにペコリと頭を下げて、連絡をくれた山田さんには後ろからぎゅーとハグをした(もちろんこんな事日本ではしないけど)。隣に小栗さんがいらしたので、改って自己紹介をする。米本さんもお二人とも面識があるらしく、すんなりと場に溶け込む事が出来た。「会いたかったんだよ、笠松さん」とまさか小栗旬に言われるとは思わなかった。作品を沢山見ていると言われた。昔、ワンシーンだけ共演した事あるよね?あの時に名前を覚えたとも言われた。響という映画の打ち上げでも会ったけど、ちゃんと挨拶できなくてずっと後悔しているとも…。小栗さんの弱い部分を、この日は沢山見た。詳細はもちろん割愛する。小栗さんの優しい部分を沢山見た。僕が先を移動したり、外に気分転換しに出ると、小栗さんが横に着いてきてくれた。山田さんが「もし選ばなきゃ行けないならスターダストとトライストーン、どっちに入る?」と。意地悪だよね。意地悪だよね。でもずっと、ずっと昔からトライストーンに入りたかった。履歴書を何度も送ったし、紹介してもらってオーディションして最後の所で落ちたこともある。ずっとずっとずっと入りたかったから。僕はなんていうのだろう。強がるのかな?毒を吐くか?弱さをチラつかせて素直な後輩をアピールするか?ねぇ、何て言ったと思う?


もう早朝、あれから何時間も飲んで(店も閉店になり移動している)、小栗さんが帰り際、「日本で食事に行きましょう」と手を差し出してくれた。僕はガッチリ握手して、「はい!タイミングで!」と返した。「場所とか日程とか…」「タイミングで行きましょう!大丈夫です!出会う必要があるなら出会うはず!そうじゃないなら出会わないはず!そうですよね?」「そうだね」、山田さんが笑っていた。米本さんがせっかくだし写真を撮ろうと言ってくれる。日本から四人も俳優が集まって、富山にいるのだからって。「要らな要らない要らな要らない」と逃げ回ったけど先輩たちに抑えられて写真を撮った。米本さんは大人だよね。僕が子供すぎるのか。


小栗さんを見送って、店の外で山田さんと話した。これは…、日本映画界の宝みたいな言葉たちなんだけどちょっとここでは書けないから止めておく。僕だけの中にしまっておくね。憧れた二人と共に酒を飲んで頭がおかしくなりそうだった。現在朝の5時、一時間半後の6時半にはホテルを出発して空港へ向かう。

「山田さん、僕そろそろ行きます」

「おう、気をつけて」

「連絡しますね」

「10月頃な」

「はいおやすみなさい」


無事帰国して、僕は現在一ヶ月TBSから抜けて別作品を撮影している。大きなスタジオで撮影しているものだから隣では別のドラマや映画も撮影しているわけだ。喫煙所に向かう。少し早足で。撮影中は時間がない。5分の休憩があればタバコに行く。一人になりたい。頭をクリアにして、整理したい。喫煙所から男が出てくる。よし、喫煙所は一人がいい。誰もいない方がゆっくり出来るから。男がこちらに向かってくる。会釈をする。かさまつくん?、「え?」


目の前にいた男は小栗さんだった。すぐ会えたね。僕はびっくりしてスタジオ中に響き渡る大きな声をあげてしまった。不思議だね、縁があるのかもしれないねって。撮影中にも三回ほどスタジオを覗きにきてくれた。その度、スタッフの皆さんがアワアワして、笠松将に小栗旬が会いにきている???となった。優越感、自己肯定感で鼻血が出そうだった。華ってきっと、こういうことなんだろうな。人を楽しませたいと思う気持ち、優しく受け入れようとする姿勢とか、そういう事なんだろうな。そうか、もう少し時間が必要だ。また会いましょうね、タイミングで。





 
 
 

56件のコメント


つきこ
つきこ
10月08日

最後の鼻血が出そうだったがおもしろいです(笑)小栗さんが何回も覗きに来てくれたらそうなりますよね(笑)

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あみ
あみ
9月28日

おはようございます


しょーちゃんが載せてくれた

L.P.D.N. (feat. VERBAL) SEEDA, VERBAL 映画みたいなMVなのも好きなのですが、L.P.D.Nどーゆ意味ですか?ググっても分からず、いつか教えてください🐶♡

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kiyoppy
kiyoppy
9月27日

素敵な出会い💓

短期間で再会するとか

読みながらめちゃくちゃドキドキしました^_^

トライストーンは小栗さんが社長ですよね、将くんの作品を観てくれたり知ってくれていてとても嬉しく思いました😊

色んな方々とのご縁が将くんにとって素晴らしいものになりますように💕


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プーさん
プーさん
9月26日

お疲れ様です。

釜山国際映画祭②は、怒涛の展開に驚いています😳

山田さんの「もし選ばなきゃ行けないならスターダストとトライストーン、どっちに入る?」

の問いに、将さん答えが気になる🤔

照れながら「ちょと待つて下さいよ。時間下さい。お願いします」かなぁ?

すみません、勝手に想像しました😊

以前、渡辺謙さんがおっしゃっていた「運」巡り合わせは、今まで頑張ってきた将さんにも

訪れたのでは✨👏

これからもファンとして見守って行きますね🥰💕

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ちいちい
ちいちい
9月26日

私も声が出た!

そんなちすぐ会えるなんて運命だね🤭

小栗さんがしょーちのこと気にかけててくれてて嬉しい😆

仕事忙しそうだけど、無理しないようにね。

編集済み
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