top of page
SKOCロゴ

トロント国際映画祭②


「企画書や台本を開いてまず初めにすることは、自分のキャラクターのゴールを探すことです。そしてその骨に肉付けをする様に、何故?どこで?誰と?誰のために?と、細部を詰める作業をします。ゴールを見つけてしまえば、それに向かって最短で物語を進めます。そんなことをしたらキャラクターに幅が出ないんじゃないかって?大丈夫です。物語が僕の人生を邪魔して、彩りのあるものにしてくれます。そういう事故やノイズこそがキャラクターの魅力であり、想定された全てには面白みが欠けます。細部に神を宿し、現場のイレギュラーが雑味を足して、当日カメラ前の気分はまぁ、ネイルの色みたいなものですね。何色だって君は十分素敵だよって、目を見て言ってあげたいです」と、脳みそで誰かが誰かと話している。僕が誰かと話しているのだろうか?誰かが僕に話しかけているのだろうか?それとも僕が僕に?目の前のインタビュアーが話を続ける。取材を受けていたことをすっかり忘れていた。いや、取材を受けているからこんな事を考えていたのかもしれない。「それで、笠松さんはどんな風に台本を読んで、どんな準備をするんですか?」少し前のめりで、声が高い。僕は体の重心をソファに移す。「そうですね〜、適当ですよ。何にも考えていませんね」と真面目な顔で伝える。目の前のインタビュアーは物足りないと言った顔をしていた。


ree

TIFF(トロント国際映画祭)は大成功だったと思う。映画ファンの集まる道を闊歩し、オフィシャルの写真撮影をする。その流れですぐにレッドカーペット、インタビューをして、そのままスクリーンの裏側の席に案内される。そして名前を呼ばれたら登壇して、監督が上映前舞台挨拶をする。ピョン監督が堂々と映画についての説明をして僕たちは一仕事を終えたと思うのも束の間、すぐに映画館の客席中央に暗闇の中案内されて、映画を映画字幕で観ることになった。えええ、もう観たのに〜位に思っていたけど、映画が始まると急にドキドキして来る。大画面に自分の演じたキャラクターが暴れ回っている。それを1700人のお客さんのリアクションを浴びながら、一緒に映画を観てる。最初こそ緊張したけど、段々とそれが堪らなくて。映画をしっかり楽しんでもうラスト!というところで肩を叩かれる、「上映後クロストークの為に移動します」って、今いいところなのに!!!!もう!!!


ree

スクリーン裏に向かう途中、ピョン監督が僕に肩を組んで「タバコに行こう」と裏の非常口を開けたところに誘ってくれた。タバコに火をつけて、深く吸い込んで、トロントの空に向けて細く吐く。ピョンさんが突然、死ぬほど緊張したんだという事を吐露してくれた。手が震えたのだ言う。お客さんに初めて観てもらうから怖かったと言う。途中でみんな帰ったらどうしようと。そんな風には全く見えなかったから、当たり前みたいにそこに立って、これからも当たり前みたいに作品を作っていく人だと思っていたから、僕はとても驚いた。監督は涙目っぽく見えた。そして僕たちは、喉の奥に少しだけ煙を貯めてそのまま上映後トークに挑む。「日本の俳優はどうだったか」と言う質問に監督が僕の名前を呼んで、称賛の言葉をくれた。細かく、とても具体的に。素直に嬉しかった。「監督についてどうですか?」と司会者が僕に振ってくれた。英語で話す準備もしていたし、日本語で答えることも出来たけど、なんだか監督に、監督の母国語で伝えたいなと思ったから、僕は下手くそだけど韓国語で答えたの。それをピョン監督も、ソルギョングさんもホンちゃんも喜んでくれて、悪い気分はしなかったな。


ree


行事が終わると、そのまま食事会。お洒落なご飯屋さん。トロントに来てその日の夜ご飯も、次の日の朝ごはんも、その昼ご飯も、その夜ご飯も、また次の日の朝ごはんも、全部みんなと一緒に食べている。これは韓国の文化なんだと思う。僕は途中途中抜け出したタバコに逃げるんだけど、寂しい思いをしなくて済むね。二次会にいくって言うから、僕はもう帰ろうとしたんよ、流石に疲れたし、もうずっとジルサンダーの衣装を着ているから、汚すのが怖かったし。ソルギョングさんが「ショウも絶対来いよ〜」って言うからわかりました!!!って大袈裟に頭を下げたりなんかもしたんだよ。好きな人にはそう言うことも出来るよね。


ree

二次会のバーにではずっと映画の話。細かい事は書き込めないけど、とにかく僕は、「あ、そうか。そりゃそうだよな」って納得したし、反省したの。映画監督ってものすごいプレッシャーだし、夜も眠れないみたい。答えは無いし、あーだのこーだの言われるしね。ピョンさんの場合はシナリオも書いて、編集も見てるから、本当にすごい神経だな〜って。そりゃ手も震えるし、酒も毎晩のむわな。少し尖って張って生きなきゃ潰れるだろうし、そりゃそうだよなって。良い夜だったな、うん、とても良い夜だったと思う。僕にとっても、ピョンさんにとっても。流石に疲れたから僕は先にホテル帰りますね!おやすみって。それでも深夜一時半は過ぎていたからね。


ree

朝起きて、ジルサンダーの衣装を詰め込んで、ホテルの部屋を出る。車の時間が朝10時でほとんど眠れず…。エレベーターに乗り込んだらソルギョングさんがいたから挨拶をして、よく寝れたかって。「お前、韓国にまた来い」って言ってくれたから、ちゃんと目を見て、必ずって伝えました。エレベーターが開いたら、韓国Netflixチームが待ってくれてて。みんな眠いだろうに。「気をつけて帰ってください!」って、「昨日何時までやったの?」って聞くとホンちゃんが渋い顔で「あさ五時は超えてたよ」って。やりすぎだよ(笑)監督とハンさんは潰れてる?そうだよね。ありがとう。またすぐに会おうぜ。


 
 
 

55件のコメント


マナ
マナ
9月09日

お疲れ様でした🥺🩵

作品楽しみに待ってます🩵🩵

いいね!

taka
taka
9月08日

本当にお疲れ様です

以前笠松さんはオーストラリアだったけどTOKYOVICEの試写会に行った時の事を思い出しました。大きなスクリーンで観れて圧巻でした。今回は忙しくて編集続きで目も痛くて検索も全く出来ずで映画祭の事さえ知らずお会いできるチャンスを逃してしまいましたが10/17が楽しみです。怖いお話ではない様で安心して観られます✨

レッドカーペットの笠松さんいつか撮影させて頂けたらいいな〜📷✨

いいね!

まゆ
まゆ
9月08日

確かに、エラーが出たときどう動くかがその人の本質であり面白さな気がします。もっと言うと、ここでなら失敗しても立て直せる、周りも見守ってくれる、と安心して挑戦できる環境があることも有難いですよね。それは周りの懐の深さもあるけど、今まで積んできた自身の経験が拵えてくれたものっていうか。だから自然体でステージに立てる。肩の力を抜くってよりかは、緊張も怖さも自然な心の動きと認められるってニュアンスが近い気がします。

いくつも作品を世に出した方でも、初上映の反応は怖いものなんですね。ピョン監督の手は冷たかったろうな😢


私SNSでシェアされた将さんを見て感じたんです。ステージと客席の間に引かれた境界線を。これはなんだろう、同じ時代に国に生まれいるのに、あちらとこちらでは別世界にいるようで。

でも、将さんがブログで私のコメントにいいねをくれたり、私の言葉を拾ってくれたとき、将さんが自ら俳優とファンの間の線を飛び越えてくれたような気がします。とても嬉しいです。ありがとうございます。

俳優とファンの距離感があるからこそ 「君は頑張っている。知ってるよ。」って言葉がよりじんとくるし、

「主演はまだ早い」と、普通は舞い上がってふたつ返事しちゃう場面できちんと足元を見れる将さんに親近感が湧く。

そしてイベントで会えたとき、この境界線がスッと消えたような感覚にわけが分からなくなってめちゃくちゃ目が泳ぐ私も想像できます。笑 でも勇気を出してお礼を伝えたい。

それぞれの世界で見た景色がどんなに綺麗だったかいつか話せたらいいなと思います。

いいね!

ちいちい
ちいちい
9月08日

本当に𝕁𝕚𝕝 𝕊𝕒𝕟𝕕𝕖𝕣の衣装はめちゃくちゃ似合ってた!

作品見れるの楽しみだなー

いいね!

比呂1104
比呂1104
9月08日

しょーちの適当は、頑張ってる証拠だね。ご飯は、ちゃんと食べれたのかな?緊張で喉通らなかったかな?

ガツガツ食べたかな?

やはり、選ばれし人の中に入ってるね👌ますます楽しみです。体調気をつけてアイスコーヒーがぶ飲みで、がんばっです👊✨昨日満月🌕だったのかな?月🌕綺麗でしたね😊

しょーち愛してる💚

いいね!
bottom of page